おはよう虫!!
お久しぶりです。
サイエンストピックに久々に登場しました秋枝です。
今年の冬は寒かったですね。
それもここ最近は急に暖かくなって、あの雪がちらついていた日々が遠いものになった気がします。
さて、こうして暖かくなってくると冬眠していた生き物が目覚めて登場してきますね。
早いところではアブラナが咲き始めているし、一部のカエルなどは産卵が始まっています。
そして私の大好きな昆虫も目を覚まし始めます。
アブラナにフワフワ蜜を吸いに飛んできたモンシロチョウを見かけるとウキウキします。
でも昆虫ってどうやって春を感じているのでしょうね?
今回は春をどう感じているか、というところにスポットをあててお話ししたいと思います。
■昆虫が眠るってどういうこと?
さて、そもそも昆虫が眠るということはいったいどういう事でしょう?まず、昆虫が起きている状態というのは、育って大きくなるという発育と、子孫を残す繁殖できる状態になることをさします。逆に眠るという状態は昆虫の活動が停止、抑制された状態です。
この眠るという内容には、大きく発育休止と休眠の二つの意味が含まれます。
発育休止というのは、寒すぎるとか熱すぎるといった昆虫にとって好ましくない環境のとき、発育できない状態です。
昆虫は体温を自分で一定に維持できない変温動物です。夏には体内の代謝活動が活発になりすぎて体温が上がりすぎてしまいます。
また、冬に活動に必要なだけの代謝活動が行えず、体温が下がってしまうこともあります。そのような時、昆虫は発育休止状態になります。この場合は、その昆虫にとってちょうど良い温度になったりするなど好ましい条件になったとき、すぐに発育を始めます。
休眠は、発育休止と同じく昆虫にとって好ましくない環境のとき、自分から進んで発育を停止、抑制させる状態です。
停止、抑制の状態を解除させるには、自分が発育しても大丈夫という見極めが必要です。もしかしたら本当は寒すぎる時期が続くのに、
一時的に暖かくなっただけかもしれません。ですから昆虫にとって有利な時期が続くようになるのか見極められるまで発育はしません。
■休眠の機能
休眠は、食物が少ない、寒い、暑いといった昆虫にとって生きていくのにつらい季節に直面したとき、昆虫が自分自身の身を守るために身につけた力です。
ですが、休眠は、ただ個々の個体が不利な環境を乗り切るために起こす行動ではありません。実はその種全体にとっても大事な意味があるのです。
休眠にはいくつか種類があります。例えば、夏に代謝が活発になりすぎて体温が上がるのを防ぐための夏休眠。
また、冬に代謝が落ちて体温が下がるのを防ぐために行う冬休眠もあります。休眠に入る時期は個体の置かれている環境によってさまざま。エサの豊富さなど、環境が違っていれば、どうしても休眠に入る時期にはズレが生じてしまいます。
これが発育休止なら、それぞれの個体が好ましい状況になったとき、それぞれのタイミングですぐに成長を始めます。
よって目覚めるタイミングにもズレが生じ、まとまった数の成虫がいない状況に陥る可能性もあります。
同じ時期にいる成虫の数が少ないと、繁殖率にも影響がでてしまいます。その繁殖率の低下を抑える役目を休眠は持っているのです。
休眠は同じ種内のそれぞれの個体が、同じ発育段階で発育を停止もしくは抑制する状態です。また休眠が打破されるのは、
自分が発育しても大丈夫という見極めが出来たとき。つまり同じ種の中で一致して発育に適切とされる環境条件になったとき、
種内の統一された基準を満たしたときです。
結果、目覚めるときはどの個体も同じ発育段階にいるので、もしその昆虫が蛹(さなぎ)の段階で休眠に入れば、休眠が打破されたときにどの個体も成虫になることになります。同じ時期にまとまった数の成虫がいる状況になり、結果、繁殖率が上がるというメリットが生じます。その種にとって繁殖に都合の良い季節と成虫になる時期を一致させて、発育のずれを調節している事も休眠の役目なんですね。
■休眠のスタート
さて、休眠とはどういう機能かというところが解ったところで、休眠に入るきっかけってなんだろうってところを考えてみましょう。
休眠には先ほど紹介した夏休眠、冬休眠という、季節の違いで分ける分け方もありました。そしてもう一つ、休眠に入るスイッチの違いによるわけ方があるのです。
それは、環境要因がスイッチとなって休眠が決定する外因性休眠と、遺伝的に決まった発育段階で遺伝子がスイッチとなり休眠する内因性休眠です。そしてこのスイッチの違いによるわけ方は、さらに外因性、もしくは内因性の夏休眠、冬休眠に分けられます。
ここではみなさんにおなじみの昆虫、モンシロチョウを例に、環境要因によってスイッチが入る休眠にスポットをあててお話ししたいと思います。
パッと環境要因と言われて思いつくのは気温や水温などの周りの環境による温度でしょう。確かに温度も重要な要因です。大多数の昆虫にとって発育と活動に直接的に影響を与えています。
中には温度を感知して休眠をコントロールする昆虫もいます。ですが、温度って年によって違いますよね。冷夏のときもあれば、暖冬のときもある。つまり毎年同じような条件ではありません。
よって季節を知らせるしるしとするのは安定性に欠けてしまいます。場合によっては適当な季節ではないところで目を覚ましてしまうかもしれません。
温度以外に利用できる環境要因はないものでしょうか?
実は多くの昆虫は、太陽で季節を認識しているのです。
太陽が出ている時間を日長と言いますが、この日長の長さは、地球の自転や公転で決まっています。これなら温度よりもずっと変動が少ないですね。
モンシロチョウは年に通常年6〜7回、寒冷地では2回発生します。そしてどのような日長のときに幼虫期を過ごしたかによって、どの発達段階で休眠するかが決まります。たとえば、秋頃、日長が短くなってくる時期に幼虫期を過ごしたモンシロチョウが、蛹の時期に休眠するのです。
日本を含む温帯の昆虫では日長を利用しているものが多いですが、熱帯みたいに年中日長が変わらないところでは乾期と雨期の空気中の湿度の違いで認識したりと、
生息する気候によって違うものを利用しています。
■休眠の終わり
これまでの話の中で、休眠の機能とスタートのさせ方はわかりましたが、どうやって休眠を終わらせるのでしょうか?
もうお解りですね。
休眠のスタートは日長がきっかけでした。ということは終了のきっかけも日長です。
夏休眠の場合だと、真夏に休眠しているので、終了時期を知らせるのは、日長が短くなってきた頃、逆に冬休眠の場合だと、日長が長くなってきた頃に休眠は終了されます。
モンシロチョウの場合だと蛹は雨のあたらない人工物など、さまざまなものに付着しています。ですからほとんどの幼虫は太陽の光りが届くところで蛹になるのです。
モンシロチョウの蛹の冬眠の打破には、冬を認識させるため一定期間の低温も必要です。
しかし、最終的に自分が発育しても大丈夫という見極めは春の日長で決定します。
このように、昆虫と太陽は切っても切れない関係なのです。
■春になった!
春になり、日が長くなって、日に日に陽が沈む時間が遅くなっていきます。そのときに目の前にモンシロチョウや他の昆虫がいるかもしれません。
ヒトが日の長さを感じて、春を感じるように、昆虫も春を感じているのです。
目の前にいる昆虫も同じように春を感じているんだなぁ〜と昆虫の不思議について観察するのも、楽しそうですね。
<参考文献>
『応用昆虫学の基礎』 中筋房夫・内藤親彦・石井実・藤崎憲治・甲斐英則・佐々木正己著, 朝倉書店, 2000.
サイエンストピックに久々に登場しました秋枝です。
今年の冬は寒かったですね。
それもここ最近は急に暖かくなって、あの雪がちらついていた日々が遠いものになった気がします。
さて、こうして暖かくなってくると冬眠していた生き物が目覚めて登場してきますね。
早いところではアブラナが咲き始めているし、一部のカエルなどは産卵が始まっています。
そして私の大好きな昆虫も目を覚まし始めます。
アブラナにフワフワ蜜を吸いに飛んできたモンシロチョウを見かけるとウキウキします。
でも昆虫ってどうやって春を感じているのでしょうね?
今回は春をどう感じているか、というところにスポットをあててお話ししたいと思います。
■昆虫が眠るってどういうこと?
さて、そもそも昆虫が眠るということはいったいどういう事でしょう?まず、昆虫が起きている状態というのは、育って大きくなるという発育と、子孫を残す繁殖できる状態になることをさします。逆に眠るという状態は昆虫の活動が停止、抑制された状態です。
この眠るという内容には、大きく発育休止と休眠の二つの意味が含まれます。
発育休止というのは、寒すぎるとか熱すぎるといった昆虫にとって好ましくない環境のとき、発育できない状態です。
昆虫は体温を自分で一定に維持できない変温動物です。夏には体内の代謝活動が活発になりすぎて体温が上がりすぎてしまいます。
また、冬に活動に必要なだけの代謝活動が行えず、体温が下がってしまうこともあります。そのような時、昆虫は発育休止状態になります。この場合は、その昆虫にとってちょうど良い温度になったりするなど好ましい条件になったとき、すぐに発育を始めます。
休眠は、発育休止と同じく昆虫にとって好ましくない環境のとき、自分から進んで発育を停止、抑制させる状態です。
停止、抑制の状態を解除させるには、自分が発育しても大丈夫という見極めが必要です。もしかしたら本当は寒すぎる時期が続くのに、
一時的に暖かくなっただけかもしれません。ですから昆虫にとって有利な時期が続くようになるのか見極められるまで発育はしません。
■休眠の機能
休眠は、食物が少ない、寒い、暑いといった昆虫にとって生きていくのにつらい季節に直面したとき、昆虫が自分自身の身を守るために身につけた力です。
ですが、休眠は、ただ個々の個体が不利な環境を乗り切るために起こす行動ではありません。実はその種全体にとっても大事な意味があるのです。
休眠にはいくつか種類があります。例えば、夏に代謝が活発になりすぎて体温が上がるのを防ぐための夏休眠。
また、冬に代謝が落ちて体温が下がるのを防ぐために行う冬休眠もあります。休眠に入る時期は個体の置かれている環境によってさまざま。エサの豊富さなど、環境が違っていれば、どうしても休眠に入る時期にはズレが生じてしまいます。
これが発育休止なら、それぞれの個体が好ましい状況になったとき、それぞれのタイミングですぐに成長を始めます。
よって目覚めるタイミングにもズレが生じ、まとまった数の成虫がいない状況に陥る可能性もあります。
同じ時期にいる成虫の数が少ないと、繁殖率にも影響がでてしまいます。その繁殖率の低下を抑える役目を休眠は持っているのです。
休眠は同じ種内のそれぞれの個体が、同じ発育段階で発育を停止もしくは抑制する状態です。また休眠が打破されるのは、
自分が発育しても大丈夫という見極めが出来たとき。つまり同じ種の中で一致して発育に適切とされる環境条件になったとき、
種内の統一された基準を満たしたときです。
結果、目覚めるときはどの個体も同じ発育段階にいるので、もしその昆虫が蛹(さなぎ)の段階で休眠に入れば、休眠が打破されたときにどの個体も成虫になることになります。同じ時期にまとまった数の成虫がいる状況になり、結果、繁殖率が上がるというメリットが生じます。その種にとって繁殖に都合の良い季節と成虫になる時期を一致させて、発育のずれを調節している事も休眠の役目なんですね。
■休眠のスタート
さて、休眠とはどういう機能かというところが解ったところで、休眠に入るきっかけってなんだろうってところを考えてみましょう。
休眠には先ほど紹介した夏休眠、冬休眠という、季節の違いで分ける分け方もありました。そしてもう一つ、休眠に入るスイッチの違いによるわけ方があるのです。
それは、環境要因がスイッチとなって休眠が決定する外因性休眠と、遺伝的に決まった発育段階で遺伝子がスイッチとなり休眠する内因性休眠です。そしてこのスイッチの違いによるわけ方は、さらに外因性、もしくは内因性の夏休眠、冬休眠に分けられます。
ここではみなさんにおなじみの昆虫、モンシロチョウを例に、環境要因によってスイッチが入る休眠にスポットをあててお話ししたいと思います。
パッと環境要因と言われて思いつくのは気温や水温などの周りの環境による温度でしょう。確かに温度も重要な要因です。大多数の昆虫にとって発育と活動に直接的に影響を与えています。
中には温度を感知して休眠をコントロールする昆虫もいます。ですが、温度って年によって違いますよね。冷夏のときもあれば、暖冬のときもある。つまり毎年同じような条件ではありません。
よって季節を知らせるしるしとするのは安定性に欠けてしまいます。場合によっては適当な季節ではないところで目を覚ましてしまうかもしれません。
温度以外に利用できる環境要因はないものでしょうか?
実は多くの昆虫は、太陽で季節を認識しているのです。
太陽が出ている時間を日長と言いますが、この日長の長さは、地球の自転や公転で決まっています。これなら温度よりもずっと変動が少ないですね。
モンシロチョウは年に通常年6〜7回、寒冷地では2回発生します。そしてどのような日長のときに幼虫期を過ごしたかによって、どの発達段階で休眠するかが決まります。たとえば、秋頃、日長が短くなってくる時期に幼虫期を過ごしたモンシロチョウが、蛹の時期に休眠するのです。
日本を含む温帯の昆虫では日長を利用しているものが多いですが、熱帯みたいに年中日長が変わらないところでは乾期と雨期の空気中の湿度の違いで認識したりと、
生息する気候によって違うものを利用しています。
■休眠の終わり
これまでの話の中で、休眠の機能とスタートのさせ方はわかりましたが、どうやって休眠を終わらせるのでしょうか?
もうお解りですね。
休眠のスタートは日長がきっかけでした。ということは終了のきっかけも日長です。
夏休眠の場合だと、真夏に休眠しているので、終了時期を知らせるのは、日長が短くなってきた頃、逆に冬休眠の場合だと、日長が長くなってきた頃に休眠は終了されます。
モンシロチョウの場合だと蛹は雨のあたらない人工物など、さまざまなものに付着しています。ですからほとんどの幼虫は太陽の光りが届くところで蛹になるのです。
モンシロチョウの蛹の冬眠の打破には、冬を認識させるため一定期間の低温も必要です。
しかし、最終的に自分が発育しても大丈夫という見極めは春の日長で決定します。
このように、昆虫と太陽は切っても切れない関係なのです。
■春になった!
春になり、日が長くなって、日に日に陽が沈む時間が遅くなっていきます。そのときに目の前にモンシロチョウや他の昆虫がいるかもしれません。
ヒトが日の長さを感じて、春を感じるように、昆虫も春を感じているのです。
目の前にいる昆虫も同じように春を感じているんだなぁ〜と昆虫の不思議について観察するのも、楽しそうですね。
<参考文献>
『応用昆虫学の基礎』 中筋房夫・内藤親彦・石井実・藤崎憲治・甲斐英則・佐々木正己著, 朝倉書店, 2000.
